うるるん人生3

ここではかのーさんが、不覚にもちょっと感動しちゃったことをご紹介します。
およそ週1で更新予定
フィリックスのガム

 私が5歳の頃のお話です。うちの実家は兼業農家でした。米はもちろんいろんな野菜も作ってましたが、すべての穀物,野菜を作っていたわけではないので、作ってないモノは近所の家との間で交換するわけです。うちは米と麦を近所のよろずやの家と交換してました。

 その家からもらう麦は白い布袋に入っていて、私はそれが家に届くのがすごく楽しみでした。母が担いでくるとすぐに中を見せてもらいます。そこには必ず黒猫フィリックスのキャラクターがついた5円のガムが麦に混じってひとつだけ入っていたからです。「なんでいつもガムが入っているの」と母にきいても「さあ、なんでじゃろ」とニコニコしてるだけ。私は、幼心にガムが入っているのは麦工場でいっしょに袋詰めにするルールだからだと思ってましたが、違いましたね。

 交換してくれるよろずやのおばさんが、「加納さんのうちには確か5歳になる子どもがいたはずだ・・・」と自分の店の一番安い商品なんですが、気持ちというこ とで入れてくれてたみたいなんです。手渡しするんじゃなくて、そっと袋に忍ばせておく。しかも毎回忘れずに・・・。 昔の地域社会って、こういうやさしい気の利いた人がたくさん周りにいましたよね。

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