うるるん人生4

ここではかのーさんが、不覚にもちょっと感動しちゃったことをご紹介します。
およそ週1で更新予定
鉄人28号・・・その1

 鉄人28号は5歳のころ(35年も前よ)のぼくのヒーローでした。ぼくが泣いていると、決まって親父が「そんなこっちゃ鉄人みたいに強うなれんぞ」といったものです。今回はその鉄人28号のおもちゃのお話。

 いま、ものすごくプレミアがついているブリキの鉄人28号。ぼくも5歳のころあれを持ってました。生活が苦しかった昔、親父が買ってくれた数少ないおもちゃでした。きれいなブルーで塗装され、ぜんまいでのっしのっしと歩き、背中のロケットの中には発火石で火花が飛ぶギミック付き。顔を近づけるとブリキのおもちゃ特有の金属のいい匂いがしました。いつも一緒に遊んでいた大事な大事な宝物でした。

 ところが、正月休みに親戚の子が遊びにきたとき、なんとその宝物の鉄人の腕を壊してしまいました。「てつじんのうでがとれちゃったあ・・・」泣きました。そりゃあ、もう大泣きです。子供心にも、これは直せないだろうと思ったからです。

 そのとき、親父がやってきて「ちょっとよこしてみろ」と、その壊れた鉄人をしげしげと見ました。そして、鉄人と壊れた腕をもって、納屋の方に持っていきました。しばらくして戻ってきたときには、鉄人の腕がくっついている!しかも元のとおりに動きます。「ほれ、直ったぞ」。みると、太い針金で器用につないであります。さすがに針金を見えないように処理するところまではしてませんでしたが、それでもぼくはうれしくてうれしくて。このときは、親父が颯爽としていて、とても頼もしく思えました。「すごい、しきしま博士みたいだ!とうちゃんはえらい」

 自分にも子供が出来たとき、親父のように子供の宝物を直してやれる父親になりたいと思いました。幸い模型や日曜大工で道具はそろってます。そしていま、子供が「パパは何でもなおせるんだぞ!」と誇らしく友達に自慢してるのを見ると、何よりもうれしい気持ちになるのです。

鉄人28号・・・その2
 
去年の正月に実家に帰ったとき、母親からこんな話を聞きました。

 その前の年の秋頃に、昔のおもちゃを探しているという男が現れ、実家の納屋の中を見せて欲しいといってきたそうで、田舎モンのうちの母親は人を疑うことを知りませんから見せてやったらしいのです。いわゆるお宝ハンターってやつでしょうか。本当にいるんですね。びっくりしました。ちょうどぼくら世代の実家なんかが古いおもちゃの狙い目なんでしょうね。

 で、しばらく納屋を探して、私のブリキの鉄人28号を見つけたらしいのです。「背中のプラスチックが壊れてるのと、鼻がもげてるのがおしいなあ。鼻はどっかにないですかねえ」などど母親に尋ね(無論30年以上も前になくした鼻など残ってるはずはありませんが)、2,000円で買っていったそうです。母はどうせ壊れたおもちゃなのでお金はいらんと言ったそうですが、代金は一応置いていったようです。

 そのあと母親はすごく切ない気持ちになったそうです。
「なんか、昔の思い出まで一緒に持っていかれたような気がしてなあ・・・」
 だったら売るなよ、かあちゃん。でも、田舎モンだから断れなかったんだろうなあ。お人よしだし。

 しかし、お宝ハンターの人も、つらいことしますよね。古いおもちゃには、いろんな物語が染み付いてるのに、それを単なる投資の対象としか見ない。もうなんと言いましょうかね・・・。ははは。

 まあ、世界のどこかで、腕に修理のあとのあるブリキの鉄人28号が、大切にされていることを望みます。納屋にほっぽらかしていた自分にはえらそうなことはいえませんが・・・。


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