父の魂・9

夜中の騒音


もう! 学校が夏休みに入ってから騒音に悩まされてます。騒音といってもうちの子の話じゃありません。

近所の公園に中学生だか高校生だかわかんないけど毎夜数人で繰り出してきて花火をおっぱじめるわけなんです。

花火といっても爆竹の類、夜中にやるもんじゃありません。どうして若者は爆竹が好きなのか。でも私も好きでした。

これが9時や10時なら文句いいませんよ。ところがあのバカタレどもは夜中の12時近くになってもやってるんですよ。

子供を寝せようとしているこちらとしては、たまりません。よっぽど叱りに行こうかと思いましたが、こんなことでもし万が一逆に殴り殺されてもばかばかしいので、誰かがおまわりさんを呼ぶのを待ってるわけです。

ああ、自分が大山倍達とかヒクソン・グレーシーなら叱りに行くのに! 

でもね、相手が小学生以下なら堂々と叱れますよ、私は。(自慢してどうする)


その日は、爆竹の音で腹が立って、眠れません。

「ええい! プラモデルを作るしかない」

なぜ、「作るしかない」のでしょう。読書したっていいのですが、なぜか私の場合はプラモデルです。
今作ってるのは、戦車を引っ張るハーフトラックのジオラマです。キットはタミヤですごく出来がいい。


作っているうちにジオラマの土台を作りたくなりました。

のこぎりを取り出してきて木を切って組み立てはじめました。

ああ!ここはどうしても釘を打たなくては・・・。

でももう夜中の1時過ぎです。

小さい釘だからいいか。嫁さんは熟睡中はなんにも聞こえんだろうし・・・。

私はかなづちで静かに釘をうちはじめました。

とんとんとん

とんとんとん

とんとんとん

とんとんとん

とんとん・・・・

バタン!

「なにやってるの!! パパは!」

お、おまえ熟睡してたのではないのか。
ガオーって感じで憤怒の鬼と化した嫁さんが私の部屋に飛び込んできました!!

「ものすごく響くんだよ! 泥棒かと思って目がさめちゃったじゃない!!」

やばい、本気で怒ってる。

「絶対近所の人にも聞こえてる! 絶対よ。 
やめなさい!!


「はい」

と子供のような叱られ方をしてしまいました。

公園の爆竹バカを叱る資格なんて私にはまるでありません。



翌朝、目を覚ました私に対し、嫁さんは昨夜のことでまたなじり始めました。

「あんなうるさい音を夜中に出すなんて信じられないわ。くどくどくどくど・・・・」

よっぽど腹が立ったんだろうな、嫁さんは。

心から申し訳ないと思いました。

しかし、心と体は別。

こういうタイミングの悪い時に限って起きぬけのおならをしてしまうわたしです。

しかもこういうときに限って大きな音のおならです。

ぶすううううう。

嫁さんは一瞬凍りつき、

「さいってい!!」

「はっはっは。100年の恋も冷めちゃうよねえ」

とごまかす私。

「そんな恋をした覚えなどまったくありません!」

と見事にきめつけられました。




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