父の魂・7

幼虫

私は厳格な父親です。
子供が欲しがれば、おもちゃなんかすぐ買っちゃいます。いや、子供が欲しがらなくても買っちゃいます。自分が欲しいから。

ではどこが厳格なのか。
それは、子供のギャグに対してです。

子供が幼稚園などで仕入れてきたネタを披露すると嫁さんは喜んでやりますが、私は正直につまらないものはつまらないといい、笑ってやることなんかめったにありません。

子供にとって私の存在は、それはそれは高く大きな壁に違いありません。
なんと立派な父親であることか、私は。


しかし、不覚にも一度だけ、子供のギャグに大笑いしたことがあります。

ある日、娘と息子と私の3人で風呂に入っていた時のことです。

娘が
「ねえねえ、○○ちゃん(弟の名前)・・・・・、幼虫やって」

ん?幼虫とは何だろうと思っていると。息子は

「ようちゅう・・・」

と呪文を唱えるように言いながら自分のオチンチンの皮をめくるではありませんか。

これがツヤがあって本当に幼虫みたいに見えるからいけない。

「ぶはははははは!」

大笑いしちゃいました。
こいつ、幼虫の意味も知らないくせに! 

子供は、自分のギャグで初めて心から父親を笑わせたことが、うれしかったのでしょう。目をキラキラさせて

「うひゃっ、うひゃひゃっ!」
と大喜びです。

まあ、それはそれでいいんですけどね。そのあとがいけない。


ある休日、会社の若い女の子たちが、我が家に遊びに来てくれました。
もうご想像はつくとは思いますが、あえてお話を続けます。

うちに若い女性が来るなんて、息子にとっては夢みたいな話です。
もう浮かれまくって、大喜びです。しかもつまんないギャグをやってもウケてもらえる。もう有頂天です。

次第にエスカレートして、ウケることなら何でもやり始めました。ええ。ズボンを脱いでお尻も見せましたよ、彼は。

そういうときに、いらんことを言うのがうちの娘です。

「ねえねえ○○ちゃん。幼虫やって」

「うひゃっ、うひゃひゃっ!」と大喜びでその準備に取り掛かる馬鹿息子。

自分の分身のような人にそういうことはしてもらいたくありません。

さすがに止めました、私は。お尻ペンペンして泣かせて止めました。
子供は泣くまで止めませんからね。


みんなが帰ったあと、夫婦でため息をつきました。


・・・・・・・・・・・・・・・

以上、厳格な父親の末路のお話でした。



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