父の魂・32

遊べや息子

私の息子は4月から小学校1年生。
このぐらいの年頃の男の子は本当に良く遊びます。

我が家の場合、日曜日は朝8時ごろ息子にたたき起こされます。息子は朝のアニメを見たいんだけど、自分ひとりで見るのは寂しくて怖いらしく必ず私を起こしにきます。寝不足の朝は辛いっす。

9時半までアニメを見ると、今度は「外に行こう、テニスをしよう」と私が根負けして動き出すまで連呼します。

んで、近所の公園でテニスの真似事。なんで幼稚園児がテニスなんて言い出すかというとTVで「テニスの王子様」というアニメがあるんです。まあ、我々も小さいころ巨人の星に影響されて田んぼでゴムまりの野球をやりましたが、それと同じです。

テニスと言っても我々のは息子の高角打法のために私が走り回るだけ。
まるで息子にしごきを受けてるみたいなものです。

家に帰って昼飯を食べると、今度は

「サイクリングにいこう!」

と息子にせがまれます。

息子はおじいちゃんに買ってもらったマウンテンバイク、私は子どもイスがついたままのママチャリで8kmほどの川原づたいの道を走ります。

途中でどこかのおじさんがラジコン飛行機を飛ばしてるのを見物して、ジュースを飲んで、本屋で立ち読みして帰ります。

家に帰るとまたすぐお出かけ。今度は息子とお姉ちゃんと私の3人で近所の地区センターに行きます。

地区センターは市営のリクレーション施設です。そこでお姉ちゃんは図書館の本を読み、息子と私はオセロをします。

なぜ息子がオセロを好きかと言うと、これまたTVで「ヒカルの碁」なるアニメがやってるからです。碁とオセロって見た目がやや似てますからね。


地区センターでは体育館も開放されており、無料で卓球ができます。息子とお姉ちゃんと私の3人で対戦するんですが、うちの息子は幼稚園児の割には、ちゃんと球を返すのでまあ立派なもんです。

卓球が我が家のブームになってますが、別にTVで
「卓球のお姫様」なんていうアニメがやってるわけではありません。以前100円ショップでラケットを買ったのがキッカケです。



家に帰って夕飯を食べたら、今度は家の中でピンポン玉を使ってキャッチボールです。これが結構おもしろい。息子もキャッキャ言って投げてきます。

それが終わったら、紙飛行機を折って飛ばしやっこです・・・・・・・


と・・・いう具合で、
私にはほとんど自由時間がありません。



ところが! 
このように良く遊ぶ息子が2月のある土日で友達の家に泊まりで遊びに行きました。
息子の幼稚園の友達が3月で遠くに引っ越してしまうので、思い出に仲良し4人が集まって遊ぼうってことになったんです。



こ、これはラッキー! 

魂のラジコンの製作を進めるチャーンス!!

息子がいない静かな土日は、私にとって久々の自由になる土日。
充実しました。
でもちょっぴり寂しかったですけどね。

息子は、友達の親御さんのもてなしですごく楽しんだようで、日曜日の夕方、大騒ぎして帰ってきたと思ったら、すぐに寝ちゃいました。

いい思い出になったことでしょう。

・・・・でも、それだけじゃなかったようです。





翌日の月曜日、私が夜仕事から帰ると居間のテーブルにニンテンドー64と「ゼルダの伝説」が置いてありました。

「ゼルダの伝説」は以前「息子にもできるかも」と思って中古ソフトを買ってやったものですが、文字がいっぱい出てきてついていけず、ほっぽらかしてたものです。
まあ、もともと息子はTVゲームより体を動かすことのほうが好きですし・・・。


私が夕飯を終えてTVを見ていると、息子がやってきて

「パパ、テレビ見てる?・・・・」

「おう、見とるぞ」

「ゼルダの伝説やらない?」

「アホか。今何時だと思ってるんだよ。子どもはもう寝る時間!」

「だって・・・パパにゼルダの伝説のやり方を教えてもらいたいんだもん」

「なんで?」

「だって・・・・・○○くんたち、みんなできるんだよ」



お泊りで遊んだ息子の友達には、上にお兄ちゃんがいたりしてTVゲームにけっこう慣れてるようです。


「わかったわかった。今度の土日な。もう寝ろ」

「今日教えてよう。ボクもできるようになりたい・・・」

「あのなあ、そんなの一生懸命覚えたって、覚えたころには別のゲームが流行っちゃうもんだ。
テレビゲームなんか覚えるより、みんなにピンポン玉のキャッチボールでも教えてやれい!




息子は泣き出しました・・・。

後で思えば親の無茶苦茶な論理だったのかも。


「うぐ・・うぐ・・・そんなの○○くんたち、喜ばないよ。紙飛行機作ったってつまんなそうにしてたし・・・。
みんなテレビゲームばっかりしてたんだよ。ボクだけゼルダの伝説ヘタなんだ」


「ヘタなら○○くんたちに教えてもらえばいいじゃないかよ」



「うぐ・・うぐ・・・おまえはヘタだからって、やらせてくれないんだもーん、
うわーん・・・・」




息子はオイオイと泣きました。

ためてたモノを吐き出すように泣きました。



・・・・・・・・なんという理不尽。

あんなに体を動かして人と遊ぶことが大好きな息子が、一つの中古のTVゲームができないというだけで、こんな思いをしなくてはならないとは・・・・・。

いじらしくて私まで泣けてきそうになりました。

しかし、これも人生勉強。我々だって小さいころコマを回せなかったら仲間はずれでしたもんね。

その日、息子は泣きつかれて寝入ってしまいました。


仕方が無いので、翌日は早く家に帰って、ゼルダの伝説を教えてやりました。
30分ぐらいやったら、息子も元気になりました。


しかし、その後も一人で練習するかと思いきや、ぜんぜんしません。
なぜか・・・




飽きちゃったようです。

あの涙はなんだったの?

息子のTVゲームの上達が遅いのは、単に根気が無いからです。

友達にヘタといわれるのも自業自得の面もあるかもしれません(笑)。


2002/3/3

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