父の魂・31

豆まき

今年は2月3日が節分でした。
さてその節分、小さい子どもがいる家庭ならだいたい豆まきをしますね。
そしてたいていお父さんが鬼役になります。

家庭の中にもっと鬼役にふさわしい人物がいても・・・例えばおかあさんとかね・・・節分の鬼役はお父さんと相場がきまっています。

豆をまくときは、後でなるべく豆を回収しやすい部屋を選んで「鬼は〜そと〜」「福は〜うち〜」とやるわけです。
私が小さい頃は、家の中のあらゆる場所から鬼を追い出すために全ての部屋に豆をまいたものです。当時の親は立派ですね。後片付けが大変だとか言わないで、ちゃんと行事を豪快にやらせてくれたわけですからね。


夕ご飯を食べて、我が家でも、豆まき開始です。

しかし、鬼役を何年もやって、逃げるマネをするのはいいかげんばかばかしくなっていた私は

「今年の豆まきは、一家4人でじゃんけんして負けた人が鬼になることとする!

と、父親らしく堂々と新しいかのー家のルールを発表しました。
う〜ん、やっぱりばかばかしい。

「わー! やろやろ! ぎゃはははは」

子どもたちは、意外な展開に大喜び。




さあ、豆まき開始!
ママも交えて4人でじゃんけんをしました。

「じゃ〜んけ〜ん ぽい!」

「あははー!お姉ちゃんが鬼だー!

こういうときに決まって負けるのは要領の悪いお姉ちゃんです。

お面をかぶったお姉ちゃんに残りの3人が豆をぶつけます。

「鬼は〜そと〜」パラパラ

「福は〜うち〜」パラパラ

「お手伝いしろよ〜」パラパラ

「マンガばっかりよむな〜!」
パラパラ

「ちゃんと勉強しなさいよ〜!」パラパラ

「しどーい!鬼に勉強しろなんていわないよ、普通! もう一回じゃんけん!」
とお姉ちゃん。

「じゃあ〜んけえ〜ん ぽい!」

「ぎゃははー!またお姉ちゃんだ!」

「くそー」


その後お姉ちゃんは連続して4回も鬼をやりました(泣)。なんと弱いことか、じゃんけんが・・・。




次に鬼になったのはママです。

「鬼は〜そと〜」パラパラ

「福は〜うち〜」パラパラ

「鬼よりこわいぞ〜」パラパラ

「こわすぎ〜」パラパラ

「おこりすぎ〜」パラパラ


「んもう! ひどいわー。母としての務めを一生懸命果たしているのに!」

とぷりぷりの嫁さん。




今度は幼稚園児の息子が鬼役です。

「鬼は〜そと〜」パラパラ

「福は〜うち〜」パラパラ

「おもちゃはちゃんと片付けなさ〜い!」パラパラ

「人に向けて屁をこくなー!」パラパラ

「生意気すぎー!」パラパラ


「なんだよー!やーめーて!」

と半泣きの息子。




そして、最後に鬼になったのは私です。

「鬼は〜そと〜」パラパラ

「福は〜うち〜」パラパラ

「食事の片づけをしろー」パラパラ

「プラモデルはもう買うなー!」パラパラ

「ハゲー!」パラパラ


「なにおう!
   このやろー!」


と思わず豆をひろって反撃してしまいました。

こうなると豆まきというより、豆合戦。
親子で豆をぶつけあう風景は、もはや節分ではありません。


こうして豆まきの激しい戦いは終わりました。

後片付けをしてるときに、嫁さんと目が合いました。

「それぞれ、心にしこりの残る豆まきだったね・・・・」







2002/2/4

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