父の魂・15

即興行進曲


  我が家のイベントのない日曜日の午後は、たいがい大型チェーンの古本屋(ブック○フ)に行きます。上のお姉ちゃんが立ち読みが大好きなんですよ。

お姉ちゃんが夢中で立ち読みしてる間、私は下の息子を連れて近所の模型屋に行きます。そこで私はキットを購入。息子はがちゃがちゃです。

  その日は、時間が結構あったので模型屋から古本屋に戻ってお姉ちゃんと合流してもまだまだ時間がありました。つまり嫁さんの買い物を待ってるわけですな。ははは。

お姉ちゃんはまだ夢中で立ち読み中。私も本を物色することにしました。

本を探していると、息子の声。

「パーパー。パーパー」

「なんだよ。うるさいなあ」

「これほしくなっちゃったー」


見れば風呂場で遊ぶさかなのおもちゃ。古本屋なのにおもちゃがあるのは、息子のような字の読めない子供の注意を引くため。

これ以上風呂場におもちゃが増えたら、ヌルヌル度が増すだけです。

「さっきがちゃがちゃ買ったでしょう。今日はもうなし!」

と厳しい父親の私です。息子はぶつぶつ言いながら他のおもちゃを探し始めました。

再び本をながめる私。

しかしねえ、ブック○フの本を見ると情けなくなることがあります。

古本屋では、文庫本を新品のように再生するといって、本の小口3辺を機械で削って白く美しくするんです。ところが、その作業をする店員のバイト君の中には本のことを良く知らない子がいて、新潮文庫も3辺を削っちゃうのですよ。そうするとね、新潮文庫特有の紐のしおりまできれちゃうんですよね。

それを見るとね、ものすごく悲しくなるのよ。 本のことを知らんやつが本屋のバイトをすなー!といいたい。

まあ、バイトしてる子は素直でよい子なんです。挨拶の研修はしっかりされているようですが、本のこともちゃんと教えてやって欲しいですな。


  などと憂いながら、文庫本の裏表紙のあらすじを読んでいると、遠くの方からまた息子の声。
今度はさっきよりでかい声です。

「ぷあーぷあー(パパの意)ぷあーぷあー」

しんとした広い古本屋のフロアーに響き渡ります。

「はいはい。ここ。ここに居るぞ。今度はなんだよー。」

「うんこ」

お客さんはたくさんいますがみんな静かに立ち読みしてます。声を出してるのは我々親子だけ。

その中で息子の「うんこ」の声はフロア中に鮮明に聞こえてます。


 ブック○フでは、トイレを借りるときはレジの店員さんに頼んであけてもらわねばなりません。

「あのう、すみません。トイレ貸してください」

「はい。いいですよ」


レジからトイレまでおよそ20メートル。


私は息子の手を引いて店員さんのあとをついていきます。

歩きながら、息子は自作の即興行進曲を大きな声で歌いだしました。


「♪うんこ うんこ うんこ うんこ うんこっこー

 ♪うんこ うんこ うんこ うんこ うんこっこー

 ♪うんこ うんこ うんこ うんこ うんこっこー

 ♪うんこ うんこ うんこ うんこ
 
 うんこっこー」

「エエ加減にせんかい!」


息子のうんこ行進曲にのって店内練り歩き状態のバカ親子。

静かなフロアーに響き渡るし、知らないお母さんは笑ってるし。

さすがの私も顔が真っ赤になりました。

私は、いままでいろんな書店や古本屋に行きましたが、他の家族からのこのような「うんこ」の単語連発を耳にしたことはありません。神奈川県東部でも珍しい親子なのでしょうか。


息子をトイレに入れ

「出たかー?」

「うん!でた! 3つでた!

 あ、4つ。

 5つだ!!」

こらこら実況中継せんでもよろしい。
おなかが冷えてガスがたまってたんだねえ。5つにも割れて・・・・。

 ということで、大騒ぎの古本屋さんでした。

帰りに、お姉ちゃんに

「恥ずかしかったよねえ」

と聞いたら、漫画に夢中で気づかなかったみたいでした。

結構他のお客さんも気づいてなかったのかもしれませんね。



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