父の魂・34

入院パパ


「オレは風邪をよくひくけど、それは体調の変化に敏感で大病をしない体質だからなのだよ、がっはっは」

なんて威張っていた私でしたが、それは根拠のない思い込みでありました。

体が丈夫じゃない人も大病はします。

・・・・・当たり前ですね。なに言ってるんでしょ、私は。


しかしまさか自分が肺炎で入院するとは思っておりませんでした。9月後半から10月前半にかけて、16日間の入院生活。

肺炎がどんなふうに苦しくて、病院での生活はこうだ・・・みたいな話を今さらしてもそんなに面白くないので、病院であったエピソードを二つご紹介します。



その1 朝の検診

入院患者の朝は早く、6時になると看護婦さんが起こしにきます。まあ、消灯が9時ですから6時起床は当たり前ですけどね。

私の病室は8人部屋です。看護婦さんは順番に目覚めの検診をします。
体温、血圧を測ったあと問診です。

「昨日はお小水とお通じは何回ありましたか?」

普段の生活では、うら若き女性からしっことうんちの回数を聞かれることなんか変態でもない限りまずありませんが、そこはそれやはり病院です。

「小が9回、大が1回」 とか

「小8、大2」 などと患者さんは答えます。

中には寝覚めの気分が良くて余計なことを言う年配の患者さんもいます。

「小10回、うんち1回。
そのうんちがさあ、看護婦さん、気持ちいいぐらいいっぱい出てさあ。
バナナぐらいの立派なヤツが4本も出たんだよお」


「おほほ、そりゃまたたっぷりでましたねえ。良かったですねえ」

・・・みたいなほのぼのとした会話。



でもその会話のすぐあとの朝食に
まるでタイミングを計ったかのように、
立派なバナナが出てきたのには、
まいりました。

病室の8人の男たちは気まずい雰囲気で食事をしたのでした。






その2 嫁さんの泣かせるセリフ

入院中、嫁さんは2日に一度ぐらいの間隔で面会に来てくれました。下着の替えや頼んでおいた本などを持ってきてくれます。そんなに話すこともなくたった10分ぐらいの面会ですが、単調な入院生活の中では結構楽しみにしていた時間です。

ある日嫁さんがこんなことを言いだしました。

「パパが入院してから家の中が暗くなって・・・・」

うわ、嫁さんのキャラに合わないしんみりしたセリフ。

そうかあ、やっぱり一家の大黒柱のオレがいないと家から灯が消えたようになっちゃうんだろうなあ。けっこうオレはムードメーカーだったんだ。
・・・なんて思ってちょっぴり涙ぐみそうになったりして・・・。

しかし嫁さんの次の言葉で涙は引っ込みました。

「もう! なんでよりによってパパが入院したときに
立て続けに風呂場やトイレや玄関の電球が切れるのかしら。

電球のカバーがはずせないから交換できないのよ
んもー早く退院して電球替えて
!!」


・・・・・・・・・・・・・

家の灯が消えたようになったんじゃなくて、本当に灯が消えてたのね。

なっとく。




ちなみに、この話は看護婦さんにもけっこうウケました。




2003/11/03

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