すかたんモノがたり-6
三波春夫先生の 歌謡浪曲 1999年の大晦日、紅白歌合戦。みなさんはご覧になりましたか。三波春夫さんが、かの有名な「俵星玄蕃」を朗々と歌い上げた姿を、です。 「俵星玄蕃」のような曲のジャンルを歌謡浪曲というのですが、これはほとんど三波春夫オリジナルのジャンルです。歌謡浪曲は1曲が10分近くあり、時間の制約が厳しいTVではめったに見られるもんじゃありません。NHKも味なことをやってくれました。あの紅白歌合戦に歌謡浪曲とは・・・・受信料を払ってる甲斐があります。 それにしても、むちゃくちゃカッコよかった!私はその約10分間金縛り状態でした。さすがに若いころに比べると声量は落ちてましたが、それを補ってあまりある風格がありました。歌謡浪曲を聞くと心から、日本人に生まれてよかった!と思います。なんと日本人のメンタリティーの可憐なことよ! なんと日本語のリズムの美しいことよ!! 私は紅白歌合戦を実家で見ました。あけて正月、初売りのCDショップに出かけ、上記のCDと同タイトルのカセットを購入。カセットの方は実家の母にプレゼントしてきました。そのCDには「俵星玄蕃」も含めて4曲の歌謡浪曲が入っています。 横浜に戻ってきてからは車に乗るたびに歌謡浪曲です。うひー、かっこいい! そのうち、だんだん歌詞を覚えちゃうのですよね。学生時代、暗記科目があんなに苦手だったのに、歌謡浪曲はスイスイです。受験勉強はゴロ合わせなんかじゃなくて、歌謡浪曲にして覚えりゃよかったと今にして思います。 道を歩いていても鼻歌はいつも歌謡浪曲。普通の歌じゃありませんから、ハタから聞けば、なんかブツブツ念仏を唱えているようにしか見えません。 「歩きながらの浪曲はやめた方がいいと思う。危ない人に見えるから」 と嫁さんに注意も受けました。 覚えてくると今度は知り合いに披露したくなるのが人情。 ある日会社の若い人たちを誘って、勇んでカラオケにいきました。ところがなんとカラオケのラインアップにはありません! うはあ!ショック! やはり1曲10分なんていうハタ迷惑な曲はカラオケにならないのですね。* 仕方がないからアカペラで歌いましたよ。 しかし、あれを演奏なしでやるのはつらい。まるで御詠歌をうなってる変なおっさんです。(歌謡浪曲でも十分変)。聞いてる若い人たちは半分感心、半分は気の毒そうに私を見てました。そのまなざしは例えるとするならば、40歳になって東海道線の駅名を全部覚えたことを芸にしているおっさんがいるとするなら、それに対する憐れみのまなざしです。 しかし、私は負けませんでした。「伴奏さえあれば!」 その一念で会社の同僚を説き伏せMACで伴奏を作ってもらいました。すごく大変な作業だったようです。この場を借りて厚くお礼を申します。 で、このあいだ会社の宴会でそれを披露。やはり年配の方々にはウケましたね。ともかく溜飲の下がる思いでした。うししししし。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ *三波春夫先生は2001年4月14日にお亡くなりになりました。残念。 *歌謡浪曲のカラオケについて : この記事を書いた2000年初頭には聞いたことはなかったのですが、最近(2003年2月)は、カラオケで歌えるところが増えましたね。 |
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