時は室町末期_生きることを追いかけてやまぬひとりの男の前に、あの少年は出現する

食べていくこともままならぬ時代_貧しい村でひとりの子供が母親の死をみつめていた。
「とうとうくたばりやがったか」_子供はそんな運命をはねのけ,生きるために盗みを働き村を出る。
寅吉と呼ばれるその子供は立ち寄った荒れ寺で美しい菩薩像に出会い、心惹かれる。
昔、村を救う為に人身御供となった子供を彫ったものだという。不思議なことにその子供は最後まで微笑みをたたえていたと_しかしそう語って告げる僧侶をも、寅吉は殺す。

数年後、村々を荒らす野武士の先頭に
成人した寅吉の姿があった。

狐目の寅吉と呼ばれ、その残忍性から
恐れられている寅吉_
「生きようとしない者は、斬る」

そんな寅吉の目に入ったのは、
村の子供に混じりひときわ色の白い_
あの菩薩像に似た少年だった。

「極楽浄土を信じようとしている人間の顔は
みんな同じでつまらないね」
「俺も同じ顔に見えるか」
「さあ・・どうだろう」
子供だけは殺さない寅吉は、野武士の
住処に集め、生きる術を教えていた。
そうすれば、極楽へ行けるかのように_


地獄、極楽_人は死ねばどうなるのだ

かつて寅吉たちに連れられてきた少女りおは、新参者の子供達を学んできたように教育していった。
しかし連れられてきた平太はいつか寅吉を殺してやるといきまいた。
一方、野武士たちは寅吉のやり方に疑問を抱いていた。これじゃあガキどもを養うために働いているようだ_
ある夜、野武士たちは子供達を売り飛ばし寅吉から逃れようと謀反を企てる。
しかし寅吉はそれを許さない。おりしも野武士を討ち取ろうと守護の軍が住処の山を取り巻いていた。
そんな人間の様を見おろす千世丸_「まったく、人間はいつも同じだね」

生きることを追いかける寅吉_時を超え人間の生きざまを見つめる少年_
寅吉は生き抜くことができるのか_少年は何を見るのか_

時代

室町末期

場所

日本

少年の名前

千世丸

モーニング2001,No30に掲載

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