第415回電波監理審議会意見の聴取

草野利一 
月刊ファイブナイ編集長

2006年8月24日

 

 第415回電波監理審議会意見の聴取

      平成18年8月23日16:00〜
      於:総務省総合通信基盤局1002会議室


 無線設備規則の一部を改正する省令案について


利害関係者、草野利一の意見陳述

「はじめに。」

 私は都内と千葉県にアマチュア無線局を設置しており、社団法人日本アマチュア無線連盟の会員です。

 配布されました準備書面によりますと、社団法人日本アマチュア無線連盟、JARLが「賛成」の意見を述べることになっております。

 JARLの「賛成意見」はJARL幹部が勝手に出したものであり、JARL会員の総意、並びにアマチュア無線家の多くの意見を代表するものではないことを当審議会では認識していただきたい。

 なぜならJARLが準備書面で「賛成」としたことが明らかになった先週土曜日以降のわずか4日間に、今回議論になっているPLCに反対する署名がぞくぞくと私の所に送られて来ており、実に2000名を超しております。

 JARL幹部の今回の行動(PLCに賛成するという意見提出)は、インターネット上でも「会員に対する裏切り行為だ」という意見が数多く飛び交っており、JARL幹部は後ほど会員から除名を含む法的責任が追及される可能性が大であります。

 この署名簿は陳情書として私が意見を述べた後、別途審議委員に提出致しますので、しっかりとご判断をお願い致します。

「本改正案に反対です。」

 大阪大学の北川先生が出されている準備書面を拝見し、極めて理路整然とPLCモデムからのノイズが電線から漏えいして、無線通信の受信に大きな障害になるということがわかり、短波帯において超微弱電波を受信して無線通信を日夜行っているアマチュア無線局として存亡を迎える危機感を持っています。

 当然ですが微弱電波の受信に障害となるいかなるノイズも到底受け入れられません。

 本改正案では、PLCモデムからのノイズの強さは電流で規制するとされていますが、これは製造メーカーの都合に一方的に合致したものであり、無線局の受信において障害の有無を判断するには極めて不適切です。

 昨年1月に発足した共存研究会の当初に提案されているように、無線局のアンテナにおける電界強度で規制すべきです。

 ダブルスタンダード自体。モラルハザードの始まりであり、技術論以前の倫理上の問題を抱えています。

 PLCが導入された場合、現に総務大臣より免許を受けて運用しているアマチュア無線局側の受認限度の調査は一度も実施されておりません。環境アセスメント法の精神からして、最悪の条件を含む多数の実験が必要です。

 多くの学者や識者によってPLCは障害が予想されると指摘されているのに、実験すなわち環境アセスを実施せずPLC導入を許可した場合、予想された障害が発生すれば総務大臣の責任も考慮されると思われます。

 総務省ではブロードバンドゼロ地域解消のためさまざまな施策をとっていると承知しています。

 これにからみ全国的に各種調査研究会が発足し、報告書も出されていていますが、これら報告書の内容に解消ツールとしてPLCの記述は見あたらないと聞いています。

 電磁環境を汚染し、無線通信を危うくするPLCの導入には総務省自身が乗り気ではないのではないでしょうか? その訳は、総務省自体大きなツケ(訴訟)を回避したいためではないでしょうか?

「もしPLCが導入された場合の対応についてお尋ねします。」

 現在提案されている(ノイズばらまき型)PLCの導入は絶対反対ですが、百歩譲って、総務省の強行によって「このPLCが(認証設備として)制度化され」、実態として既存アマチュア無線局の無線設備の機能に障害があった場合、つまりPLCのノイズで無線局の運用に支障をきたした場合ですが、法令として「妨害を排除する規定」はあるのでしょうか?

 又、現に無線業務を行っているアマチュア無線局の発射する電波によって、PLCを装着した経済取り引き機器や防犯システムに障害が起き、経済活動や家庭のセキュリーシステム等が正常な動作を維持できず多大な損害や危険が生じる恐れがあります。

 この場合、その対応と責任を示す法令の完備は不可欠です。規定があやふやでは困ります。きちんと整備された規定はあるのでしょうか?

 無線局、放送受信、天文台など存亡の危機を迎えている無線ユーザーの反対あるいは杞憂にもかかわらず、電磁環境を維持すべき総務省が自らすすんで電波利用環境を汚すなら、我々アマチュア無線家は訴訟と電波利用料不払い運動も辞さない覚悟であります。

「省令改正案作成にかかわる瑕疵についてお尋ねします。」

 答申案作成の報告書の中に、基本的な理論的間違い及び受認許容値を算出する過程に重大な瑕疵が発見された場合、法案の撤回が求められます。裁判で瑕疵が明らかになった場合、その責任は誰が負うのでしょうか?


 --------------


私のPLC阻止活動にご協力頂いた皆様(いえ協力ではありませんね、同じアマチュアですから)へ。

 8月23日の電波監理審議会の利害関係者からの意見聴聞は、中立の立場に立つ審理官(総務省役人)が改正案に関係する利害関係者と改正案作成側の担当者双方から意見を聞き取り、争点を整理して9月13日開催の電波監理審議会に提出するものです。審議委員は役人ではなく総務大臣から任命された民間の学識経験者です。現在の委員は以下の5名です。

 羽鳥 光俊   中央大学理工学部教授
 井口 武雄   三井住友海上火災保険取締役会長
 濱田 純一   東京大学理事(副学長)
 小舘 香椎子  日本女子大学理学部教授
 浮川 初子   ジャストシステム代表取締役専務

 賛成側はメーカーの臨時団体PLC−JとJARLですが、彼等の発言は準備書面通りでただ賛成というだけの極めて簡単なものです。反対側は阻止に必死ですから長くなります。私の意見陳述内容は既にお知らせした通りです。短波放送の林技師長と大阪大学北川先生の内容は録音も無く、その詳細はお伝えできませんことをお詫び致します。
 本文はあくまで私の当日のメモと記憶に基づいたものであり、本文の一字一句についての正確さは保証致しません。この点あらかじめお断り致します。

 質疑応答で私は以下の3点を引き出しました。これは林、北川両氏からその通りと確認して頂いています。

1)実際のアマチュア局とPLC間での相互の干渉実験は一度も行われていないことを認めさせました。

2)アマチュア局の電波でPLCに誤動作が生じても、PLCを保護する法令は無い。すなわちアマチュア局には法的責任は無いと認めさせた。但し総務省側は後で電波法30条の規定もあるので全く無いわけではないと補足説明をおこなった。

3)アマチュア局が、PLCノイズで受信障害が生じていると判断でき、かつ発生場所が確定出来ない場合、アマチュア局は総務省に報告し、総務省側は申し出により発生場所を探索しPLCの規制に関する法令の執行を行うと言わせました。

林技師長とのやりとりでは、
 PLC設備に対する免許方式は、免許が必要な個別認証と不必要な型式認証の両方で行う。設備規則で定められた条件を監視して執行する場合の適用法令は、個別認証には電波法第64条の2、及び第100条の5を適用する。型式認証には101条を適用する。

北川先生とのやりとりでは、
 PLCからの漏えい電波に関する理論計算と実証には根本的に間違いがあると追求しても、CISPR委員会と情報通信審議会の報告を信用しておりますと全く受け入れません。横から私が関連質問として、大阪大学と京都大学がCISPR委員会の報告は間違っていると言っているのだから、どちらが正しいか検証してほしい。そうでなければ被害を受ける我々は納得できないと言いましたが、頑として受け入れませんでした。
 北川先生からはPLCの使用制限について質問が出されました。それに対して母屋と離れが別棟になっている場合、電力線が架空状態であればPLCは屋内に限るので使用できないとの答えを引き出しました。

 私がいかなるノイズも受け入れられないと発言したことに対して、電波は公共のものでありそのような我侭は困るというような抗議がありました(録音がないので不正確です)。それに対して、それは言葉のあやであり、公平で納得できる値であれば受け入れるのは当然だが、受認限度の根拠がいい加減では困ると反論しました。
 
 当日の発言者には最後の発言が認められていますので、審理官の許可により、私はアマチュア局の立場から心配事を質問しているのに、アマチュアの利益代表であるJARL委員が一言も発しないのは大いに不満である。又、2ー30MHzもの広いスペックの電波を発射する無線設備に免許を与えるのは前例が無く電波監理の理念に反すると締めくくりました。